MinDeaD BlooD 〜支配者の為の狂死曲〜 DVD Special Edition
追加サンプルボイス
 

しずると悠香

 
 

悠香

 「しずる、あなた……まさか…………」

震える声で悠香が言葉を漏らす。
しずるもまだ現実を受け入れられないまま、悠香の右腕に装着されたパイルバンカー
を見ていた。どう考えても、吸血鬼に対抗するために開発された武器としか思えない。
それは即ち、悠香がハンターであることを裏付ける決定的な証拠だった。

しずる
 「お前は……俺の敵なのか?」

ようやく冷静さを取り戻した悠香が、今度は厳しい眼でしずるを見据える。

悠香
 「吸血鬼は……排除する……。それが私の全てよ」

しずる
 「そうか」

悠香
 「しずる、あなたは――」

しずる
 「吸血鬼だ」

びくんっ、と悠香の体が跳ねた。

しずる
 「最近目覚めたばっかだがな、ちゃんと牙もあるぜ」

少し大きめに口を開けて、鋭い牙を悠香に見せ付ける。
悠香は黙ってそれを見つめていたが、やがて小さく息を吐いて視線を逸らした。

悠香
 「今日、デートに誘ってくれたのは……私がハンターかどうか調べるため?」

しずる
 「……ああ」

しずる
 「お前がデートを受けてくれたのは、俺が吸血鬼かどうか調べるためか?」

悠香
 「……そうよ」

しずる
 「考えることは……同じか……」

深く、そして思い溜息が漏れた。
最後の最後で迎えてしまった最悪のシナリオ。
このまま、どちらも本当のことを知らずに別れることもできたかもしれないのに……。

しずるは冷たい眼で悠香を見据えると、ゆっくりと戦闘の構えをとった。
対して悠香もパイルバンカーを構え、じりっと両足の間隔を広げる。
瞬きする間にしずるに接近し、パイルバンカーの杭を討ち込むつもりなのだろう。

つい先ほど悠香に殺された2人の吸血鬼のことを思い出し、
しずるは背中にぞわりとしたものが流れるのを認めた。
油断すれば確実に殺される。
本気でいかなければ、悠香に勝つことはできない。

だが――

しずる
 「本当に戦わなきゃならねぇのか?」

しずる
 「俺が吸血鬼で、お前がハンターで、ただそれだけで俺達は戦わなきゃならねぇのか?」

無言――。
悠香はパイルバンカーを構えたまま、何も答えようとはしない。
眼には獲物を狙う光が浮かび、真っ直ぐにしずるの眼を射抜いていた。

悠香
 「吸血鬼は人間の敵。私達が敵対する理由はそれだけで十分」

しずる
 「…………」

悠香
 「あなたは真夜中に人間の血を吸い歩く……」

しずる
 「お前は真夜中に吸血鬼達を殺し歩く……」

しずる
 「なるほどな。敵対しないほうがおかしいってことか」

悠香が、さっとパイルバンカーを操作する。

????
 「Set up……Ready・Charge……」

悠香
 「七瀬しずる、あなたを……排除します!」


 



(c)2004-2006 Black cyc