式服姿の夜の少女と綺來が、そこにはいた。 
                        映像だ。虚像だ。実際にここにいるはずがない。 
                        それでも俺は動けなくなる。                         
                        何故なら、二人の式服ははだけ、お互いの肌をお互いで 
                          まさぐりあっていたのだから。 
                        認識すると同時に立ち込める甘い匂い。 
                          熱い吐息は周囲の空気の温度も上げるようだった。 
                        夜の少女の胸元は大きく開き、 
                          小ぶりながらも形のよい胸がこぼれ出ている。 
                          真っ白な肌はほのかに上気し紅色に染めあげられていて。 
                        その胸をまるで甘い蜜を舐めるかのように、 
                          綺來がしゃぶっている。くちゅりという粘着質の音が響く。 
                        
                        夜の少女の甘い声に綺來は悪戯っぽく笑うだけだ。 
                          目を猫のように細め、舌を出し、ぺろぺろと舐める。 
                                                  夜の少女は綺來の舌に翻弄されるように、首を振る。 
                          柔らかな髪が左右に揺れて、乱れる。 
                                                  その夜の少女も快楽を堪えるかのように、 
                          指先は綺來の胸に伸びている。 
                          式服の合わせ襟を乱して、零れ出た片方の胸を手の平で転がす。 
                        その刺激にさらに促されるように、綺來は夜の少女の胸へ 
                          と顔を埋めた。夜の少女の胸の先端を舌で転がす。 
                        
                        甘い声を上げながら、それでも夜の少女は綺來の胸を細い 
                          指先で弄り続ける。綺來は長い髪を振り、体を大きく 
                          反らせた。甘い息が零れる。 
                        
                        やられたらやり返すとばかりに、綺來は夜の少女の胸に顔 
                          を埋めたまま捲れた夜の少女の式服の裾に指を伸ばす。 
                        綺來の白い指先は夜の少女の太腿をなぞり奥へと隠れた。 
                          指が上下に動いただろうことは肩の動きから知れた。 
                        
                        聞こえるはずのない水音が響く。 
                          くちゅくちゅ、と空間いっぱいに広がる。 
                        ―――――くそ、これは一体なんなんだ……?  |